フィジカル・パフォーマンス・ピラミッドの利便性
パフォーマンス向上のためのトレーニングには、さまざまな要素が必要です。
Kinetic Performance Lab.(KPL)が提唱する「フィジカル・パフォーマンス・ピラミッド(P.P.P.)」は、独自のアプローチを取り入れたトレーニング指針です。
前回の記事では、基本的な特徴と動作重視の重要性についてお話ししました。
今回は、より深い理解を得るために、フィジカル・パフォーマンス・ピラミッドを多角的な視点から探求してみましょう。
異なる側面からピラミッドを分析し、その効果と重要性を明らかにします。
目次
多角的視点でのP.P.P.
フィジカル・パフォーマンス・ピラミッド(P.P.P.)は本来、トレーニングの優先順位を示すためのツールです。
それゆえ、トレーニングという視点から要素を理解するためのピラミッドとして位置付けています。
以下では、P.P.P.を新たな3つの視点、「能力(ability)」「骨格(Structure)」「筋肉(Muscle)」から見ることで、その一面をより詳細に理解していきましょう。
「能力(ability)」としての視点
「能力(ability)」の視点では、各要素をそれぞれの能力として捉えます。英語で「―bility」という接尾語を持つ言葉は、能力を示す言葉です。
従って、P.P.P.をこの視点から解釈すると、「Flexibility(柔軟性)」「Mobility(可動性)」「Stability(安定性)」で表現することになります。
・Flexibility(柔軟性)
→ 関節の可動域(ROM)を指し、身体の柔らかさを指標
・Mobility(可動性)
→ 関節の可動域内での自発的かつコントロールしながら扱う能力
→ 力抜けをせずスムーズに動かせることが重要
・Stability(安定性)
→ 可動性の延長線上に存在し、可動性との違いは神経系の貢献度がより高い状態で関節をコントロールする能力
「動作」は、複数の関節が可動性と安定性という機能の連動性で生み出されます。
その為、P.P.P.の「動作」は、可動性と安定性の組み合わせとして表現しています。
「骨格(Structure)」としての視点
「骨格(Structure)」の視点では、身体の構成要素に焦点を当てます。
本来は、骨、靭帯、腱、神経、内臓などが挙げられますが、特に、関節と筋肉に着目した表現でP.P.P.を表しています。
「柔軟性」や「可動性」は主に単関節に関係していますが、「動作」は複数の関節が連動して行うものです。
ここから、単関節の2つの要素が、「動作」に影響を与えることが明らかになります。
そのため、「動作」のピラミッドの横幅は、「可動域」や「柔軟性」以上に広がることは基本的には考えられません。もし、そのようなケースがある場合は、怪我をするリスクが上がることになります。
「筋力」は、「動作」である関節の動きの強化を担います。
筋肉の機能の向上は、スプリント力や筋持久力、俊敏性の向上といった、動作レベルの強化といった役割を果たします。これにより、身体のパフォーマンスが向上します。
「筋肉(Muscle)」としての視点
「筋肉(Muscle)」の視点では、P.P.P.における筋肉の役割に焦点を当てます。
「筋力」は「動作」の強化に寄与するため、P.P.P.の最上部に位置します。しかし、ピラミッドを構成する「柔軟性」「可動性」「動作」のすべてにおいても、筋肉が必要なのは明らかです。
そこで、「基礎筋力」という考え方の登場です。
「筋力」が「動作」を強化する役割であれば、「基礎筋力」は、基本的な動きを作るためとしての役割です。
「基礎筋力」は、3次元的な考え方で捉え、ピラミッドの中心に位置し、柱の様な役割を果たしているイメージです。
これは、「動作」の熟練度とともに強化され、幅が太くなります。
柱が太くなれば、周囲の要素のバランスも整い、ピラミッド全体の安定性が高まります。一方で、柱が小さいと、各要素が左右にズレ、バランスが崩れることになります。
このことから、「基礎筋力」は、怪我のリスクを左右する一つの要素と言えます。
まとめ
多角的視点から見ると、フィジカル・パフォーマンス・ピラミッドの要素が一層明確になります。
それぞれの視点から得られる洞察は、効果的なトレーニングのために不可欠な情報を提供します。
次回の記事では、「動作」と「柔軟性」についてさらに細かく分類することで、スポーツパフォーマンスを向上させる為に重要となる要素を考察します。お楽しみに!
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